女性の社会進出にからめない少子化対策は喫緊の課題です。
女性の社会進出については別のところで論じてもらうとして、長時間労働とそれに伴う長時間保育では少子化対策としては効果がないことは明らかです。その意味では野田少子化担当大臣の「少子化対策は安全保障の問題と考える」に賛成です。歴史上少子化でありながら国力を増大させた国はありません。普仏戦争は戦力的互角かフランスがやや有利と言われていました蓋を開ければドイツ側の圧勝でした。この過程でアルザス・ロレーヌ地方はドイツに奪われ(ドイツから見れば取り返し)ました。ビスマルクの巧みな戦略があったにしても一番の勝因は若者人口の違いでした。高齢化した社会に国際的な地位は望みようがありません。
縮んでいく社会でも良いではないかという意見もあります。世界が同時に縮んでいくならそれも良いでしょうが、問題は日本が真っ先に縮んでいくことです。
そうならないためには何か次いでのものを付けないことです。
よくヨーロッパを例に出して、女性の就労と出生率は無関係だという識者がいますが、例えば北欧の午後4時を過ぎれば保育施設に(先生を含めて)誰も残っていない環境と、日本のように長時間の預かりを行政が指導している状況では明らかに異なります。アメリカはうまくいっているとは言い難い状況にあります。
それに日本の女性の就業率は不況による収入減を背景としてヨーロッパと比較しても互角かそれ以上です。
アメリカはかつては世界一の女性就業率を誇っていましたが教育保育環境の悪化を背景にじりじりと下がり続け、今は日本よりも低い水準です。
女性の就業それ自体は望ましいことです。ただ女性だけに無理をさせる社会では子どもが増えるはずはありません。少子化対策に特化した制度、支援策が絶対に必要だと思います。
今は保育園の急激な増加に伴って深刻な保育士不足、そのあおりを受けて幼稚園教諭不足が進行していましたが、急激な少子化によって需給のバランスが逆転して今度は保育士余り、幼稚園教諭余りになるかもしれません。
その時に、かつて当たり前のように行われていた午後8時9時頃までの長時間残業が復活しないように気を付けなければなりません。
そのためには保護者の皆様のご協力と行政の支援が不可欠です。幼稚園や保育園にお金がないからそうなるのですから。待遇が良ければ人は確実に集まります。そうしたくてもできない状況が幼稚園にも保育園にもあります。
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